私たちって東京の養分だよね、というセリフにハッとさせられる映画。出演は門脇麦、水原希子、高良健吾。
一見、地方と東京の格差を描いた作品に見えるけれども、実際は地方と東京、東京と東京の中の格差についても細かく描写している映画。
思い描く東京やそこで生きる人たちも実は何かの養分だったり、憧れも幻想の一部でもある。
本質的には地方も東京も同じ構造であることを暗示しつつ、誰かの人生をトレースするよりも自らの尺度で自分の人生を生きていくことの魅力を示唆してくれます。
豊かどうかではなく、誰の人生を歩んでいるのかどうか。誰かの人生をトレースしていないか。判断は自分で考えて選んだものか、この観点で主人公に少しずつ変化が生まれてくる様子が見て取れます。
とにかく描写が細かいです。微細な格差を示すためにメタファーとして立ち位置の上下、座り位置の上下、これらに注目すると作品のきめ細かさを体現しています。
ファッションの観点では門脇麦さんの衣装、とにかく素敵です。