ネットフリックス ナルコスシリーズ、コロンビア編。シーズン3まであります。
端的に言えばシーズン1−2はまさにコロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの人生、その栄枯盛衰を時折実際に残った映像や写真を挿入しながら描写していきます。実話ベースというのが見る者の興味をさらに駆り立ててくれました。
パブロ・エスコバルは麻薬取引で得た大金で一時期はフォーブスの世界の富豪ランキングに名を連ねたほど。
美化はしませんが、そのビジネス的感覚、交渉は目を見張るものがあります。
この作品から組織戦略に通じる示唆を得たのでその観点からも書いていきたいと思います。
コンテンツ
2つの視点から描かれているのが面白い
この作品の面白さですが、パブロ・エスコバル自身の描写もさることながら、彼を捕らえようとするアメリカ麻薬取締局DEA (Drug Enforcement Administration)のコロンビア支局にいた実在する2人の苦悩の視点も描かれています。
当時のDEAは未だアメリカにおける組織の位置付けとしては駆け出しでCIAやFBIに対しては劣る存在でした、そのアメリカの組織の力学がもたらす歪みもこの作品の中では描かれています。
つまり、アメリカの中のDEAという組織の位置付けとそれゆえの苦悩、DEAという組織の中のコロンビア支局の2人の苦悩、そしてパブロ・エスコバル率いるメデジン・カルテルという組織の中にいる者の苦悩、これらが垣間見えるのです。
マーケットを広く捉えたパブロ・エスコバル
初期はコロンビアからアメリカにコカインを輸出し始めるストーリーから始まります。
エスコバルが当初から、南米に留まらずより単価が倍増するアメリカにターゲットをし、サプライチェーンを築いていく姿は、コカイン輸出という褒められたものではありませんが、ビジネスマンさながらです。
一時期はアメリカに流通するほとんどをエスコバルが流通させていた時期もあったほどで、それがDEAにターゲットにされ、またDEAのポジションを引き上げていく流れを生んでいきます。
恐怖でコントロールする組織は続かない
エスコバルのコカインビジネスの拡大は目を見張るものがありますが、往々にして強引に進めたり、恐怖で組織や周囲を統制していく姿も描かれます。
恐怖がもたらすのは、その瞬間は周囲を従わせることができますが、必ず人の心にしこりを残していきます。それが綻びとなっていく様子が描かれます。
恐怖の統治が次第に敵を増やしていき、裏切りを生む
恐怖で統治していく中で次第に犠牲者が出てきます。その犠牲者の友人、家族らがエスコバルを憎むようになり、またその様子を見た周囲も徐々に猜疑心を抱き始める。
エスコバルもその様子を感じとり、さらに粛清を続けていくことで残ったメンバーも次は自分かと恐怖を感じ始める。
エスコバルは最後はほぼ独りになり、射殺されることになります。
組織マネジメントの観点で得られる示唆
やはり、恐怖で統治してもそれは続かない、部下や一緒に働く人を幸せにしないと持続性はないということが言えるでしょう。恐怖は何もエスコバルのような粛清に限らず、人事考課、給与、異動命令、パワハラ、その他様々な処遇もその一部と言えます。そういったトップダウンの履き違えの先に持続的マネジメントはなかなかもたらされないことがこの作品を通じて考えさせられました。
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